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snow peak(スノーピーク)から学ぶブランドの価値

今年も春から夏にかけて何度かキャンプに行ってきました。アウトドアは気持ちをリセットできるので大好きです。
そこであることに気付きました。明らかに1〜3年で変化しているテントのメーカーの使用率です。アウトドアが好きな人ならご存じかと思いますが、コールマンという企業のテントがダントツでフィールドでは多く使用されていました。しかし、今年のキャンプでは少し光景が違いました。

いつの間にかsnow peakというブランドがあちらこちらに目に付くようになっていました。コールマン4割、snow peak3割、その他3割くらいに感じました。そんな私もsnow peakのファンですが・・・。

そこでsnow peakがなぜ人気なのか気になった訳ですが、私自身がファンな理由は単純に「かっこいい」、「高いけど他のブランドにはない所有感、満足感を与えてくれる」「働いている人の想い。会社の理念。」この3つが一番選んでいる理由かなと思います。

前置き長くなりましたが、そこでsnow peakの経営戦略にについて調べてみました。そこにはブランドへのこだわりが徹底されていました。
Apple等のブランド力の高い企業が目立つ昨今、ブランディングについては会社経営などされる方、プロダクトに関わる方は知らなければならない事です。

現在のブランドを築きあげるためにsnow peakが大事にした3つの事

①ユーザー目線の徹底された製品

自身の体験やユーザーの声を元に自らが欲しいと思える製品の開発。高品質の徹底。社員全員がキャンプ好きなため開発側も常にユーザー目線。

②ユーザー

キャンプ、スノーピークのユーザーとの密接なコミュニケーション。コミュニティ形成。

③社員

社員同士のコミュニケーション、仕事に集中できる環境作り、キャンプが心の底から好きな人の採用。

当たり前のことと言えば当たり前なのかもしません。しかし、スノーピークではとにかく徹底されているそれだけの違いなのかもしれません。

他社と比較されないブランディングを実現することで

スノーピークは多くの企業が抱えている問題をブランド力を高めることで解消している。

①景気に左右されず、価格競争にならない

②過剰な宣伝が必要ない。熱狂的なファンがいるため、製品を他者に進めてくれる。

③優秀な人材の獲得、育成。

この3つを築きあげた裏側には色々な苦難や努力、決断、拘り、人間関係がありました。

会社のコンパス「The Snow Peak Way」

スノーピークはミッション・ステートメントをとにかく大事にしている。成長できたのはこのおかげと山井社長は言っている。

アウトドアにはコンパスは方角を示す必須のものであり、経営にも会社の方針、社員の目指すところを示すものはなくてはならない物である。経営方針をとにかく大事にし、それを全社員で共有し常に意識することでブランドとして、ユーザーからスノーピークらしい他にない製品やプロダクトだと言われるものを生み出している。

以下スノーピークHP経営理念より引用

私達スノーピークは、一人一人の個性が最も重要であると自覚し、
同じ目標を共有する真の信頼で力を合わせ、
自然指向のライフスタイルを提案し実現するリーディングカンパニーをつくり上げよう。

私達は、常に変化し、革新を起こし、時代の流れを変えていきます。

私達は自らもユーザーであるという立場で考え、
お互いが感動できるモノやサービスを提供します。

私達は、私達に関わる全てのモノに良い影響を与えます。

snow peakの社長は年間40〜50日キャンプをする

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スノーピークの社員は全員キャンプが好き。中でも山井社長は仕事とプライベート含め年間40〜50日間するそうだ。

新潟にある本社はキャンプフィールドの中にあり、仕事が終わったら仕事場をでて、目の前のキャンプフィールドでテントをたてて翌朝出社する人が当たり前のようにいる。それほどキャンプ好きが集まっている。

好きなことを仕事にし、自分の体験を通して自らが欲しいと思う物を制作している。自らがユーザーでもあるため顧客目線が徹底されている。社員それぞれが製品の企画を出すがどれも厳しいキャンプユーザーとしての目線が社内にあるため、それをクリアするのですら簡単な事ではないそうだ。

決して安いとはいえないが満足する品質、そして製品の永久保証

スノーピークの製品は全て永久保証されている。恐らくこれも他社にまねできない考えであるだろう。スノーピークの山井社長はそれだけ自社の製品の品質に自信を持って世に送り出している。もちろん素材には寿命もあるので、製品上の欠陥のみではある。どこの会社もこのくらいのことはできるはずだと山井社長は話している。

ユーザーに道具を長い間愛着を持って使い続けて欲しいという考え方の表れでもある。その分製品の価格は高い。ただ、数回使用して使い捨てる道具を使用するのか、長年使い続けられる道具を使用するのか、どちらに価値観を重視して考えるかは人それぞれだと思う。使い続けて使用感が出てまた味が出るのもスノーピークの製品の特徴でもある。

2016年の製品カタログで印象的だった事で、壊れてしまった製品をスタッフが「たくさん使ってくれたお礼に、ていねいに修理する」という表現。これもスノーピークがユーザーと密接に関わるコミュニケーションの1つでユーザーの心を掴むことだと思います。

洗練されたデザイン

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高品質な製品でユーザーのニーズに応える物を作るだけでなく、デザインにも拘りがある。山井社長はアップル社の大ファンでかなり影響も受けているようだ。シンプルで上品なかっこいいイメージがスノーピークにあると私は思っている。どの製品にも統一されたイメージのデザインが施してある。ここでも高いブランド力を作るためにスノーピークのイメージをユーザーに印象づけるための統一がされている。

またデザインだけでなく長い間使用していくとまた味が出て、自分1人のオリジナルの製品に仕上がっていく。こういった所有感を持たせる製品であることも、ユーザーの心を掴んで離さない1つの理由だろう。

1つの決断

スノーピークの製品は高品質でユーザーが抱えている悩みを解消してくれるような製品である。しかし、最初はそれで売り上げも上がったのだが、一時期売り上げが毎年下がってしまった時期があったそうだ。

理由を考えていた山井社長は、ユーザーとの会話からある問題点を見つけたそうだ。

「スノーピークを買う理由は他社にない製品であるから。しかし、値段が高すぎる。

素材を安い物にして、価格を下げることは絶対にしたくないため、価格を下げるために販売ルートを見直したそうだ。

以前は問屋さん経由で販売していたが、問屋さんを通さず、直接販売する事に決めた。これには問屋さん経由だとスノーピークの製品がどの様にして販売されているかなど把握し切れていないことも1つの理由だったそうだ。販売方法を統一することでブランドイメージを高める理由にもなった。

しかし、先代の社長から長い付き合いの取引先などもあったため、そう簡単にはいかなかったそうだ。全ての会社に頭を下げ、罵声を浴びせられることもあったそうだ。しかし、ユーザーが求めている事を追求するために必要であり、変えなければいけない事であったために直接販売に踏み切った。

取引先を裏切る行為にもなるため、普通ならできないことをユーザーのためと行動した事がきっかけでまた売り上げは右肩上がりになったそうだ。この行動力も今のブランドがある1つの理由だろう。

ファンこそがスノーピークを支える1つの柱

スノーピークにはピーカーと呼ばれるスノーピークの愛好家が沢山いる。この愛好家こそがスノーピークの製品を世に広めてくれる存在でもある。満足しているからこそ他人に勧めたくなる。クオリティ、プロダクト、サービスにおいて全てに満足しているからこその影響力だと思う。

ではどの様にユーザーをファン化することができたのか。

1つはユーザー参加型のキャンプイベント。スノーピークウェイの存在である。スノーピーク社員とユーザーが一緒にキャンプをして、同じ焚き火を囲んで語り合う。もちろんここには社長も参加している。ユーザーに呼ばれればテントにお邪魔してお酒を飲みながら語り合うほど密接に関係を構築している。このスノーピークウェイこそがユーザーの本当の生の声を聞き、スノーピークの経営に活かされるのだという。

2つめはSNSの積極的な利用。スノーピークはSNSを利用することでユーザーとのコミュニケーションを絶やさず、更にはユーザー同士のコミュニティも生み出している。ここでの意見も勿論経営に活かしている。時にはファン同士で炎上することもあるそうだ。価格が高いと一人のユーザーが発言しその事に対して大炎上したことがあったそうだ。全ての意見が出きったと判断したとき山井社長は「選択権はユーザーにあります。」と発言しあくまでも判断はユーザーに委ねた。高くて買う人がいなくなれば、会社がユーザーを理解できていなかったことになるし、その事実を受け止め改善しなければいけない。しかし、ここですぐに値下げを考えるなどをしていたら恐らく今のスノーピークはないだろう。

3つめは信頼の置けるプロダクトだろう。「スノーピークだから欲しい」とユーザーがなる程、製品の開発への拘りやユーザーとの関係を築きあげてきたこと。これが熱狂的なファンを生み出した要因だろう。

ブランドの成長は社員なしでは成り立たない

スノーピークでは前述したとおり社員全員がキャンプ好きである。だからこそ優れたプロダクトが産まれる。しかしそれだけでは決して今のようなブランドにはなっていないだろう。

スノーピークではコミュニケーションを大事にしている。社員同士がコミュニケーションを図るためにオフィスの席は毎日くじで決め、2日続けて同じ人と隣の席はNGとしている。また、スノーピークウェイでは社員も参加するためユーザーとのコミュニケーションも社員が積極的に行いプロダクトに反映している。

現在スノーピークの社員は約160人(2014年時)いるそうだ。山井社長は全ての社員の名前と顔が一致する。更には社員がどの様なことに興味があるか等も把握し、コミュニケーションを図っている。

スノーピークでは机上だけでは新しいアイディアは産まれないとしており、有給などの休みも比較的取りやすい環境が出来ている。社員がいつでもキャンプに出かけて遊べるような環境整備が出来ている。しかも、オフィスの外はキャンプフィールドというキャンプ好きの社員にとっては文句なしだろう。

社員の成長を会社の成長とする事で会社も成長し、今ではブランドの世間的価値も上がったためスノーピークに入りたいという人は沢山いるようだ。しかし、入社するにはキャンプ好きは勿論だが、ただ好きなだけでは難しくなっているそうだ。

なぜかというと、スノーピークでは製品開発を企画立案から製造まで製品が完成するまでの工程を全て1人が責任をもってリーダーとして指揮するそうだ。そのため、色々な能力が求められている。しかし、全員が最初からその様なことができるはずもないので、入社してから知識なども身につけるそうだ。

とにかく全社員のモチベーションが高いため、少しでも仕事への熱意がない人は自ら去っていくそうだ。

ブランドは統一されたビジュアルだけではない

ブランドと言われると統一されたビジュアルイメージだと思われることが多い。シャネルやヴィトンと言われればイメージが浮かんでくる。トヨタのエンブレムは?と聞かれれば恐らく誰もがだいたいのイメージ通りのものを書くことができる。

これも立派なブランドが浸透していると言える。しかし、それは今だから言えることであり、そのために企業が行っている施策は膨大だ。ビジュアルの統一、社員への意識の統一、ユーザーへの価値の提供、製品への拘り。様々な施策を行ったうえで、現在の優れたブランドは存在する。

ブランド価値は計り知れない費用対効果を産み出す可能性がある。そのためにも自社を見つめ直し、自社の拘りをアピールしたり、社員教育をしたり、顧客へのサービスを考えていく必要のではないでしょうか。